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東京高等裁判所 昭和61年(行コ)11号 判決

控訴人(原告) 井上成巳

被控訴人(被告) 草加公共職業安定所長

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人の控訴人に対する昭和五八年二月二日付け、同年一月三〇日以降基本手当を支給しない旨の処分(処分甲)を取り消す。被控訴人の控訴人に対する昭和五七年六月二三日付け給付制限処分(処分乙)を取り消す。訴訟費用は第一、二審を通じて被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

二  当事者の主張は左記を追加するほか、原判決事実摘示第二と同一であるから、それをここに引用する。

(処分甲の取消しについての控訴人の補足主張)

控訴人は、中央警備を離職した昭和五七年五月一九日まで毎月雇用保険の保険料を支払い、基本手当の受給資格要件を満たしているのみであるから、処分甲は差別待遇、不公平も甚しく、憲法一一条、一四条、法一条に違反し、違法であること明白である。

(右主張に対する被控訴人の認否)

争う。

三 証拠関係〈省略〉

理由

当裁判所も、当審における資料を加えて本件全資料を検討した結果、控訴人の請求中、処分甲についての取消請求は理由がないので棄却すべきであり、処分乙についての取消請求は不適法であるから却下すべきものと判断する。その理由は、左記補正をするほか、原判決理由説示(原判決六丁裏六行目以下同九丁表九行目「不適法である」まで)と同じであるから、それをここに引用する。

原判決七丁表一行目「昭和五七年五月一九日」の次に「まで毎月雇用保険の保険料を支払つているのであるから、右離職日」を、同二行目「起算すべきである」の次に「にもかかわらず、これに反し、控訴人の受給資格に係る離職の日を昭和五七年一月二九日としてなされた処分甲は、差別待遇、不公平も甚しく、憲法一一条、一四条、法一条に違反し、違法であること明白である」を、各加入し、同末行「四箇月」を「三箇月」と、同八丁表五行目「適法である。」を「適法であつて、その違憲違法をいう控訴人の所論は採用できない。」と、同八行目「方式趣旨により真正な公文書と認められる」を「原本の存在及び成立に争いのない」と、各訂正する。

そうすると、同旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 後藤静思 奥平守男 橋本和夫)

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